
四海波(しかいなみ)という竹籠がある。
荒波をモチーフにしたこの籠は600年以上前からある伝統的なデザインで歴史ある竹籠。
梅や椿の花のようにも見える、かわいらしく美しいこの籠を作る機会に恵まれました。
札幌にある古民家を改修して造られたカフェ森彦さんの素敵な空間にて、講師は山根広充さん。
別府で修業された山根さんにお会いできたこともうれしかった。
私は横浜育ちなのですが、生まれは別府なんです。母の里帰り出産ですね。
別府・大分で10年暮らしていたこともあるのに、別府の竹細工のことを全然知らなくて、
山根さんにお会いするのを楽しみにしていました。
竹の種類は世界で1200種、日本では650種あり、
その中でも福岡と大分の真竹が一番竹細工に適していて、優れているそう。
山根さんは、大分にある竹林へ間引きにも行くといいます。
竹は根っこが全部つながっていて山を守っている。
竹林がだめになれば山がだめになってしまうから、
山根さんのような竹細工の職人さんの活動によって山は守られているのですね。
実際に手にした竹籤はとっても美しく、幅6ミリ、厚さ0.6ミリに山根さん自身が1本1本切り出していて、
それを想像しただけで、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
この美しい竹籤づくりがあるからこそ、美しい籠づくりができる。
白樺かご同様に、編むまでのプロセスが90%以上、編むのはほんの数%の工程だとおもいました。
四海波籠を編みはじめてビックリしたのは、底面を編む際にピッタリ9cmに合わせること。
ちゃんと9cmのガイドがあり、ガイドに合わせて四角に編んでいきます。
9cmに合わせたら、今度はひとつひとつ空いている隙間を正方形になるように調整します。
この作業を一番丁寧にきっちり行います。
竹の性格も考慮しながら手作業できっちり切り出された竹籤。正確なサイズで編んでいく工程。
これだけでも日本人の繊細さと当たり前の感覚は段違いです。
それなのに面白いのは、9cmガイドできっちり測り、同じ材料で同じように編んでいるのに、
参加者ひとりひとり、全く雰囲気の違う籠に仕上がったことです。
600年前の日本人と同じように、いま、四海波籠を編み、感覚を研ぎ澄ませた時間。
ほんの少しかもしれないけれど、日本人らしさを捉え、影響を受けて、
なんだかとてもわくわくして、この感覚を宝物のように感じた1日になりました。
「日本人らしい白樺かごを作りたい。繊細で美しく、そして強くやさしい白樺かごを。」
そんな気持ちに新鮮なエネルギーを注いで、これからの作品づくりに繋げていきたいとおもいます。
四海波籠づくり

美しい竹籤。つやがあり、手触りはさらっとしています。

節の位置にも配慮しながら、9cmの正方形を作ります。

竹籤を折らないようにおおきくやさしく結びます。

お花のような形になってきました。

結び目を中心にし、まるみを持たせながら直径15cmほどの大きさにしてゆきます。

竹籤をカットして完成です!
竹籤の指輪づくり

四海波籠が完成し、指輪のワークショップも。

酒樽等の箍(たが)と同じ編み方で指輪を作りました。