今年の白樺樹皮採取が終わった。
この夏だけで車を2500km以上走らせていた。
3時間かけて森に辿り着いても樹皮が剥がれない日もある。
何度も通ってタイミングを待っている。
自然のリズムにのって静かにその日を待っている。
初夏のほんの数週間、美しい樹皮に出会えるとき。
白樺にはたくさんの種類があり、真樺や岳樺と交配していて
白樺かごにするのは難しい樹皮も多い。
そんな樹皮をどうしたら美しい白樺かごにできるのか。
「修業だね。」そんな風に言ってくれた方がいた。本当にそう。
7000本の白樺。
所々に倒れてしまっている木もあり、危ないということで伐採される木々。
伐採されたあとはそのままに、白樺の木々たちは土に還り、
そして、新たな森がうまれる。
「好きなだけ持っていっていいよ。」と言ってくださった。
実際に山の奥へ進むと殆どが真樺や岳樺まじりの白樺だった。
自分より背の高い根曲竹をかきわけて斜面を奥へ入り、1本1本自分の目で見て、
背の届く高さから1mくらいだけわけていただいた。
いつもおもう。
森に入って白樺の木に会うと、「採取しないで帰ろうかな。」という気持ちになってしまう。
白樺の木に会えて、森にいられるだけでうれしい、、、とても。
だけど、伐採される白樺の樹皮は捨てられてしまうから、
人の手を通して素敵になったら。というおもいで、木々と対話をしながら樹皮をわけていただいた。
森のずっと奥には入らず、採取したのは数十枚ほど。
最後の日は、ズズメバチに出会ってしまい数枚だけ採取をしてすぐに帰ってきてしまった。
往復6時間。でも、清々しかった。
帰ってからクマがでたと連絡があった。
私の夏が終わった。
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生きている白樺の木から樹皮をいただく。
それはいつもうれしい気持ちよりも命の重みと責任を感じます。
この夏は、深く考えることがたくさんありました。
いまもなお、考え続けています。
これからの1年、私は学びたいことがあります。
自然のリズムを大切にしながら、1歩づつゆっくりと。
今後は、イベントやワークショップは(去年より)少なくなるかもしれませんが、
そっと見守っていただけましたらうれしいです。
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関係者の皆さま
今年いただいた貴重な樹皮は、
皆様のお力添えがあって、助けていただいて、
採取をすることができました。
大切に素敵に作品にしてゆきます。
本当にありがとうございました。
吉岡綾子